事業継続力強化計画(ジギョケイ)は、申請書を書く前の準備に時間がかかります。電子申請に使うGビズIDは、書類で申請すると審査に最大1か月かかります。申請してからの計画の審査には、標準で45日かかります。思い立ってから認定まで、少なくとも2か月ほど、GビズIDを書類で申請するなら3か月ほどを見込んでおくと安心です(編集部の目安)。

会社がまずすること
  1. GビズIDを申し込む(1章。書類で申請すると審査に最大1か月)
  2. 事業所の所在地で起こり得る災害を、市町村と県の資料で調べる(2章)
  3. 地元の商工会議所・商工会や、市の窓口に、相談できるか聞く(3章)

この記事は、神奈川県の会社が申請するときの段取りと、県内で使える材料をまとめます。申請書の項目ごとの書き方は「事業継続力強化計画(ジギョケイ)の申請書」にあります。

申請から認定までの流れ

神奈川県の会社の申請先は、関東経済産業局です。流れは次のとおりです。

表1申請から認定までの流れと、かかる時間
段階することかかる時間・期限
1 準備GビズID(プライムまたはメンバー)を取得する法人の代表者がマイナンバーカードでオンライン申請すれば速やか。書類申請は審査に最大1か月
2 計画を作る策定の手引きを見ながら、申請書の項目を考える会社による
3 申請事業継続力強化計画の電子申請システムから申請する申請の期限はない
4 審査関東経済産業局が審査する。不備があると照会がある標準45日
5 認定認定通知書が届く。会社名などが中小企業庁のホームページで公表される(計画の中身は公表されない)―
6 実行と見直し計画にもとづいて取り組み、決めた時期に見直す実施期間は3年まで

中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」(令和8年7月17日版)P2・P3、「事業継続力強化計画Q&A集」(令和7年12月17日版)Q11、デジタル庁「GビズID」のお知らせ(2026年7月9日)をもとに編集部作成

GビズIDは、デジタル庁のGビズIDのサイトから申し込みます。「GビズIDアカウントの作成をはじめる」から進み、会社の区分とマイナンバーカードの有無に応じて、オンライン申請か書類申請かを選びます。法人の代表者がマイナンバーカードでオンライン申請すると、審査は速やかに行われます。書類申請は審査に最大1か月かかり、不備があっても書類は返送されず、マイページと登録したメールアドレスに知らされます(デジタル庁「お知らせ」2026年7月9日)。

税制の優遇や金融の支援を受ける予定があるときは、関係する機関の審査もあります。対象の条件や手続きを、先に確かめておきます。

神奈川県の認定は2,281件です(2026年10月1日時点。中小企業庁の認定事業者の一覧から当サイトが集計)。

想定する災害を、神奈川の資料で調べる

申請書の「目標」の欄には、事業所の所在地で起こり得る災害と、その影響を書きます。神奈川県の会社が使える資料は、主に次の3つです。

表2所在地の災害を調べる資料
調べること使う資料当サイトで確かめる
洪水・内水・土砂災害・津波市町村のハザードマップ、国・県の洪水浸水想定区域、県の土砂災害警戒区域拠点リスク確認に住所を入れる
地震の揺れと被害神奈川県地震被害想定調査(令和7年3月)、市町村の地域防災計画神奈川県の地震被害想定(令和7年3月)の読み方
市町村ごとの想定と相談先市町村の地域防災計画・ハザードマップ市区町村のページ

編集部作成

申請書には、資料で確かめた数字(想定の震度、浸水の深さなど)を、資料の名前と一緒に書きます。社内でも説明しやすくなります。

現地の表示でも確かめられる

事業所の近くに、想定を示す表示が出ていることがあります。座間市の相模川沿いでは、電柱に「洪水想定浸水深 最大3.0m」の表示がありました。近くには、神奈川県・座間市・厚木市の「洪水浸水想定区域」の看板もあります。

写真1座間市の相模川沿いの表示(2026年10月7日撮影)
  • 田の脇の電柱に取り付けられた座間市の表示。「洪水想定浸水深」「最大3.0m」「この場所は相模川が氾濫すると浸水する可能性があります」と書かれている

    電柱の「洪水想定浸水深 最大3.0m」の表示

  • 相模川沿いに立つ「洪水浸水想定区域」の看板。地図に浸水が想定される区域が色分けされ、現在地の印がある

    「洪水浸水想定区域」の看板

写真:株式会社キール(防災経営)

表示は、社員に想定を伝えるときの材料になります。申請書に書く数字は、市町村のハザードマップなど、最新の資料で確かめます。表示を作ったあとに、資料が新しくなっていることがあるためです。

書くときに相談できる県内の窓口

申請書は会社が自分で書くものですが、県内には相談できる窓口があります。

表3事業継続力強化計画やBCPづくりの相談先(県内)
窓口内容
商工会議所・商工会市町村と共同で「事業継続力強化支援計画」の認定を受けた地域では、小規模事業者のBCPや事業継続力強化計画づくりを支援する
神奈川県(神奈川産業振興センター)BCP作成等支援専門家派遣。公認会計士・税理士・中小企業診断士などを無料で派遣。原則3回以内
横浜市(IDEC横浜)事業継続力強化計画やBCPの策定について、無料で助言を受けられる
川崎市専門家派遣(事業承継・BCP)。中小企業診断士などが訪問して相談に応じる。1社につき各3回まで無料

神奈川県「事業継続力強化支援計画の認定状況」(2026年8月18日更新)・「BCP作成等支援専門家派遣事業」(2026年8月28日更新)、横浜市「「事業継続力強化計画」策定支援」(2026年8月12日更新)、川崎市「専門家派遣(事業承継・BCP)」(2026年9月24日更新)をもとに編集部作成

商工会議所・商工会の支援があるのは、次の地域です(2026年10月時点で実施期間中の計画。県の一覧による)。

  • 商工会議所:横浜、藤沢、厚木、三浦
  • 商工会:座間市、二宮町、小田原市橘、寒川町、山北町、足柄上

県の専門家派遣の申込先は、公益財団法人神奈川産業振興センター(045-633-5200)です。

県内の窓口のほかに、国(中小機構)の無料の支援もあります。

  • 中小機構のハンズオン支援:専門家が、1回1〜2時間・1〜4回ほどの打ち合わせで、ハザードマップによるリスクの洗い出しから申請の作業までを手伝います。無料で、オンラインか対面を選べます。受付は12月末までの予定で、応募の状況によって早く終わることがあります。申し込みのあとに審査があり、支援が始まるまで1か月ほどかかることがあります。
  • 中小機構のWebセミナー(制度紹介の基礎編):毎月1回、火曜の11時〜12時にZoomで開いています。日程と申し込みは、中小機構のページで確かめます。

相談の前に、事業継続力強化計画 下書きシートで下書きを作っておくと、相談の時間を短くできます。

認定のあとに、神奈川県内で使える支援

国の支援(税制の優遇、日本政策金融公庫の融資、補助金の審査での加点)に加えて、県内では次の支援があります。国の支援は「事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定で使える支援」にまとめています。

表4認定を受けた会社が県内で使える支援
支援内容
神奈川県 BCP策定支援融資事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業者等は、別枠で8,000万円まで。利率2.0%以内、信用保証料率0.68%
横浜市 経営支援資金事業継続力強化計画の認定を受けた企業が対象。2億8,000万円以内、年2.2%以内。市が信用保証料の一部を助成する
綾瀬市 中小企業強靭化推進補助金(第三次公募)設備投資の補助(3分の2、上限150万円)。令和5年4月1日以降に認定などを受けていると、審査で加点される。事前相談は10月30日まで、本申請は11月13日まで

神奈川県「令和8(2026)年度神奈川県中小企業制度融資一覧表」(2026年4月1日現在)、横浜市中小企業融資制度要綱(令和8年9月24日施行)、綾瀬市「中小企業強靭化推進補助金(第三次公募)」をもとに編集部作成

表は2026年10月時点のものです。条件は年度ごとに見直されるので、使う前に各機関のページか窓口で確かめてください。ほかの市町村の支援は「神奈川県内で使えるBCP・防災の支援」にあります。

申請までのチェックリスト