関東地方整備局の「建設会社における災害時の基礎的事業継続力認定」は、国の工事の入札の総合評価で点数になる制度です。整備局が会社のBCP(事業継続計画)の中身を書類と面接で審査し、適合した会社に認定証を出します。受付は年2回で、令和9年4月1日付けの認定の受付は、令和8年10月13日から11月13日の15時までです。

会社がまずすること
  1. 申請できるかを、3つの要件で確かめる(1章)
  2. 重要業務の3つと目標時間を、審査の項目に合わせて決める(2章)
  3. 出したい回の受付から逆算して、数か月前から準備を始める(3章)

国の工事を受注する建設会社や、国の工事への参加を考えている会社に向けた制度です。中小企業庁の事業継続力強化計画とは別の制度で、違いは5章にまとめます。入札で評価される機関は、4章で確かめます。

申請できるかを確かめる

評価要領(令和7年6月)の申請要件は、次の3つです。

  • 建設業法第3条第1項の許可を受けていること
  • 関東地方整備局の管内にある営業所(本店・支店など)からの申請で、BCPがその営業所についての内容であること
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の第32条第1項各号に当たらないこと

会社の規模や業種の上限は、書かれていません。評価要領の申請要件には、経営事項審査や入札参加資格を持っていることも挙げられていません。

審査の項目に合わせて、BCPを整える

評価要領は、確認する項目と確認のポイントを表にまとめています。書類の評価では、その項目が適合しているかを確かめます。建設会社ならではの項目が多いのが特徴です。

表1審査で確かめられる主な項目
区分主な確認のポイント
重要業務と目標時間重要業務に「施工中現場の被害状況確認・二次災害防止」「関係する行政機関に対しての連絡調整」「災害協定業務の着手」の3つを含め、担当班を決める。夜間・休日の目標時間は、それぞれ12時間以内・6時間以内・1日以内
参集指揮命令系統図に載っている全員について、居住地から拠点・代替拠点までの参集の距離と時間を把握する(徒歩は時速2km、自転車は時速5kmで計算)
対応の体制災害ごとの発動の基準、社員と家族の安否確認の方法、指揮命令系統図と代理・権限の移譲、施工中の現場の二次災害の防止
拠点対応拠点と代替拠点、建物の耐震性、浸水のおそれがある場合の扱い、非常用電源の稼働時間、データのバックアップ
連絡先発災直後に連絡する行政機関の一覧、行政から直接請け負っている施工中の現場と発注者の一覧
人員と資機材人員・資機材のリスト、系統図の全員分の3日分以上の備蓄、資機材や燃料の調達先と代わりの調達先
訓練と改善災害対策本部の立ち上げ、バックアップデータの立ち上げ、安否確認の訓練の計画と記録。点検と改善の計画

関東地方整備局「建設会社における災害時の基礎的事業継続力評価要領」(令和7年6月)表1をもとに編集部作成(項目は抜粋)

重要業務の3つ目は「災害協定業務の着手」です。自治体などと結んだ災害協定の仕組みは、「建設業者と自治体の災害時応援協定」で整理しています。

すでにBCPや事業継続力強化計画がある会社

すでにある計画の、災害の想定、データのバックアップ、棚の固定などは使えます。次の項目は、新しく整えます。

  • 重要業務の3つと目標時間
  • 参集の距離と時間
  • 施工中の現場と発注者の一覧
  • 資機材のリスト
  • 調達先との連絡先のやりとりなど

拠点の災害の想定は、「拠点リスク確認」で洪水や揺れの想定などをまとめて確かめられます。

受付の時期から逆算して申請する

受付は年2回です。リーフレットでは、4月と10月の募集とされています。制度のページによると、令和9年4月1日付けの認定の受付は、令和8年10月13日から11月13日の15時までです。

書類の準備に加えて、訓練の計画や記録も求められます。出したい回の数か月前から始めます。申請書類は、電子メールで提出します。

  1. 申請する。 入力フォーム(Excel)と評価書類などを提出します。
  2. 書類で評価される。 評価要領にもとづいて、適合しているかを確かめます。不適合の箇所があると、その内容と理由を書いた申送り書が届きます。直して出し直せます。
  3. 面接で評価される。 申請した会社と面接し、書かれた内容が実際に機能するかを確かめます。書類で十分に確かめられた場合は、面接を省くことがあります。
  4. 認定される。 評価に適合した会社に認定証が交付され、インターネットで公表されます。

面接は、申請した会社と行われます。計画の中身を、社内の担当者が自分の言葉で説明できるようにしておきます。

有効期間と継続

認定証の有効期間は、新規の申請が2年、継続の申請が3年です(継続の3年は、令和5年10月1日付けの認定から)。継続するときは改めて申請し、認定期間中の訓練や点検の記録を出します。

入札で評価されるかを、発注する機関ごとに確かめる

国の工事(関東地方整備局)

令和8年度の入札・契約、総合評価の実施方針では、認定の有無が次のように評価されます。

表2関東地方整備局の総合評価でのBCP認定の評価(令和8年度)
方式評価項目配点
地域防災担い手確保型災害時の基礎的事業継続力(BCP)認定の有無3点(必ず評価する項目)
自治体実績チャレンジ型災害時の基礎的事業継続力の認定の有無2点(必ず評価する項目)
一般の工事の自由設定項目災害時の基礎的事業継続力(BCP)の認定1点(選んで使う項目)

関東地方整備局「令和8年度入札・契約、総合評価の実施方針」(令和8年3月25日策定)をもとに編集部作成

県内の自治体の工事

当サイトは2026年10月に、神奈川県と県内の主な市の総合評価の資料を確かめました。その範囲では、藤沢市と平塚市が、案件ごとに選ぶ評価項目の例にこの認定を挙げていました。

  • 藤沢市:ガイドライン(2026年4月改正)の「特定施策への取組状況」(選択項目)の例に「建設会社における災害時の事業継続力認定取得」
  • 平塚市:運用ガイドライン(工事編、令和8年4月改正)の「特定施策への取り組み」(1項目1点、案件ごとに選択)の例に「災害時の基礎的事業継続力の認定(国土交通省関東地方整備局の評価)」

神奈川県(県土整備局・企業庁)、横浜市、川崎市、相模原市などの資料では、防災の評価は災害協定の締結や出動の実績が中心でした。この認定は、評価項目に入っていませんでした。選ぶ項目は案件ごとに決まるため、評価されるかどうかは入札公告で確かめます。

注意

入札の評価項目は、発注する機関ごとに決められ、年度ごとに見直されます。この記事の内容は2026年10月時点で確かめたものです。入札に参加する前に、その機関の、その年度の総合評価のガイドラインや入札公告を確かめてください。

事業継続力強化計画の認定は、確かめた範囲では入札の評価項目に入っていませんでした。

制度の目的と、事業継続力強化計画との違いを知っておく

関東地方整備局は、大規模な災害のときに、緊急輸送道路の早期の確保や、河川の堤防・港湾施設の早期の復旧を担います。その実施には、地域の建設会社の協力が欠かせません。そのため整備局は、建設会社の「基礎的な事業継続力」を評価して認定し、公表しています。

制度は平成21年度に始まり、平成22年度からは総合評価落札方式の加点の対象になっています。整備局は、評価するのは災害のときに業務を続けるための体制が実際に機能するかで、BCPを作っているかどうかではない、と説明しています。

表3整備局のBCP認定と事業継続力強化計画の違い
建設会社における災害時の基礎的事業継続力認定事業継続力強化計画
認定するところ関東地方整備局経済産業大臣(申請先は地方経済産業局)
対象関東の管内に営業所がある建設業許可の会社中小企業者など
審査書類と面接(WEB)。評価要領の項目に適合しているかを確かめる書類。標準処理期間は45日
受付年2回(4月・10月)随時
期間認定証の有効期間は新規2年、継続3年計画の実施期間は上限3年
主な使い道国の工事などの入札の総合評価での加点税制・金融の支援、補助金の審査での加点

関東地方整備局の制度ページ・実施要項・評価要領、中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」(令和8年7月17日版)をもとに編集部作成

事業継続力強化計画の支援策は、「事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定で使える支援」で扱っています。

神奈川県の認定企業は32社

整備局が公表している認定企業の一覧(令和8年10月1日現在)には、関東の9都県で1,181社が載っています。

  • 神奈川県の会社:32社(横浜市の16社のほか、県内の13の市町村に所在地がある)
  • 栃木県:362社
  • 茨城県:316社

栃木県や茨城県と比べると少なく、県内では取得している会社が多くない認定です。

申請の前に、社内で確かめる項目は次のとおりです。

  • 申請要件の3つ(建設業の許可、管内の営業所のBCP、暴力団排除)に当たるか
  • 重要業務の3つと、夜間・休日の目標時間
  • 指揮命令系統図に載っている全員の、参集の距離と時間
  • 訓練の計画と記録
  • 入札に参加する機関の、その年度の評価項目