事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定を受けた事業者の4分の3は、何らかの効果を感じています。ただ、社内への周知や訓練、見直しまで続けている事業者は多くありません。訓練を定期的にしている事業者ほど、「効果はない」と答えた割合は小さくなっていました。作ったあとに、伝える・訓練する・見直すを続けることが、効果を分けています。

会社がまずすること
  1. 朝礼などで、計画の要点を社内に伝える(4章)
  2. 安否確認の訓練を、年1回は行う(4章)
  3. 見直しの時期を、前もって決めておく(5章)

この記事は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の「事業継続力強化計画等に関する調査報告書」(令和8年7月)をもとにしています。事業継続力強化計画の認定事業者に、策定と運用の実際をたずねた調査です。

認定事業者888者の、作ったあとの状況
効果はないと答えた割合
15.8%
4分の3は効果を感じている
社内に周知していない
39.0%
訓練をしていない
36.8%
見直しをしたことがない
48.2%
見直しの時期をたずねた設問

中小企業基盤整備機構「事業継続力強化計画等に関する調査報告書」(令和8年7月)p.22・24・27・29

答えた888者は、小さな事業者が中心

調査は、単独型の認定事業者45,505者にメールで協力を頼み、888者が答えました(報告書 p.3)。期間は2025年11月27日から2026年1月30日です。連携型の答えは15者と少なかったため、結果は単独型だけが公表されています。

回答者の姿は、次のとおりです(報告書 p.11)。

  • 資本金は「1,000万円未満」が40.8%。「3,000万円未満」と合わせて8割近く
  • 従業員は「0〜5人」が29.4%で最も多く、20人以下で約6割
  • 業種は製造業が46.7%で、半数近く

報告書は、一般の中小企業より規模の大きめの事業者が多いとしています。メールで頼んでウェブで答える調べ方のため、意欲の高い事業者に回答が偏っている可能性がある、とも書いています。数字は、認定事業者全体の姿ではなく、答えた事業者の傾向として読みます。

始めたきっかけは、補助金の加点と外部の声かけ

策定に取りかかったきっかけ(複数回答)は、「補助金(平時向け)の加点項目だったため」が55.4%で過半数でした(報告書 p.13)。「外部から勧めや要請があったため」が36.0%で続きます。外部の内訳は、「商工会議所・商工会」が23.1%で最も多く、「取引先」も10.9%ありました。

作り始めてから申請までは、「1ヶ月程度」が32.7%、「1〜2週間」が19.3%でした。約7割が、1か月以内に申請までたどり着いています(報告書 p.19)。これから作る場合は、事業継続力強化計画 下書きシートで項目を埋めていけます。

きっかけが「補助金のみ」の事業者は、「効果はない」と答えた割合が24.6%と、ほかより多くなっていました(報告書 p.30)。一方で、「業務改善・生産性向上」の効果は、きっかけによる差が見られませんでした。入口が補助金でも、作ったあとの続け方で効果は変わると読めます。

作ったあとに感じている効果

策定と運用を通じて得られた効果(複数回答)は、表1のとおりです。「効果はない」は15.8%で、4分の3は何らかの効果を感じています(報告書 p.29)。

表1ジギョケイの策定・運用を通じて得られた効果(上位と「効果はない」)
効果割合
社内のリスク意識向上42.2%
緊急時の対策整備による安心感の醸成25.9%
業務改善・生産性向上25.5%
取引先や金融機関からの信用力向上17.5%
人材育成・事業承継15.2%
効果はない15.8%

中小企業基盤整備機構「事業継続力強化計画等に関する調査報告書」(令和8年7月)図3-3-1(p.29)をもとに編集部作成。n=888、複数回答

策定のあとに実際にリスクに直面した事業者は、19.4%(172件)でした。その172件で最も多かった効果は、「社員の安否確認・役割分担をスムーズに進めることができた」の39.0%です(報告書 p.36)。「復旧や事業再開をスムーズに進めることができた」が30.8%で続きます。「役に立たなかった」は11.6%でした。

社内に伝え、訓練を続ける

作ったあとの取組には、手が止まっている事業者も多くいます(報告書 p.22・24)。

  • 社内への周知を「実施していない」:39.0%
  • 策定後の訓練を「実施していない」:36.8%。「定期的に実施」は16.8%

周知の方法で最も多かったのは、「全体朝礼や定例会でジギョケイの内容を共有した」の38.9%でした。周知をしていない事業者は、「効果はない」と答えた割合が27.7%と多くなっていました(報告書 p.34)。

訓練は、続けている事業者ほど効果を感じていました(表2)。

表2訓練の頻度と、得られた効果(主な項目)
訓練の頻度回答数社内のリスク意識向上効果はない
定期的に実施14955.0%2.0%
不定期に実施25147.8%7.2%
過去1回のみ16142.2%13.0%
実施していない32732.1%30.0%

中小企業基盤整備機構「事業継続力強化計画等に関する調査報告書」(令和8年7月)図3-3-8(p.35)をもとに編集部作成。複数回答

苦労していることの上位は、周知では「社員の関心を引き出すのが難しい」(24.2%)、訓練では「訓練のための時間や人手を確保するのが難しい」(30.2%)でした(報告書 p.43)。大がかりな訓練より、朝礼で要点を伝え、安否確認の訓練から始めるのが続けやすい形です。進め方は「安否確認の方法と訓練」と「机上訓練のやり方」にまとめています。

見直しの時期と、お金の計算を決めておく

見直しの時期をたずねた設問では、48.2%が「見直しをしたことがない」と答えました(報告書 p.27)。見直しの内容をたずねた設問では、同じ答えが74.8%です。時期を「予め時期を決めている」は14.0%にとどまります。見直しをしたことがない事業者も、「効果はない」と答えた割合が27.6%と多くなっていました(報告書 p.33)。

復旧費用を「算出したことがない」事業者は76.6%でした。「具体的な金額を算出したことがある」は2.3%です(報告書 p.21)。

次の認定を考える

今の計画のあと、次回も申請する意向があるのは40.4%、意向はないが8.2%、未定が51.4%でした(報告書 p.28)。

  • 次回も申請する理由:「認定による支援策を引き続き活用したい」56.8%、「ジギョケイの運用による効果を感じる」30.1%
  • 申請しない理由:「ジギョケイの効果を実感できていない」35.6%、「認定による支援策の必要がなくなった」26.0%
  • 未定の理由:「ジギョケイの効果がまだわからない」39.7%

申請しない理由と未定の理由の上位は、どちらも効果の実感です。周知・訓練・見直しを続けた記録は、効果を確かめる材料にも、次の計画の土台にもなります。認定で使える支援は、「事業継続力強化計画の認定で使える支援」で整理しています。

まずここまで
  • 朝礼で計画の要点を伝える
  • 安否確認の訓練を年1回する
  • 見直しの月を決める
余裕ができたら
  • 訓練の結果を計画に反映する
  • 復旧費用を一度計算する
  • 取引先や支援機関に、取組を伝える

社内のルールに書いておくこと

  • 計画の要点を社内に伝える場(朝礼・定例会など)と時期
  • 安否確認の訓練の時期(年1回以上)と担当者
  • 見直しの月と、反映すること(所在地の想定・連絡先・担当者)
  • 止まったときに要るお金の見積もりと、調達の方法
  • 次の認定を申請するかを判断する時期

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